知っておきたい下痢のあれこれ
「便秘」について以前に書いていますが、実は私は体質的には「下痢」に悩まされる事が多く、勤務中は整腸剤や下痢止めを職場に常に持ち込んでいます。
下痢にも様々な理由があり、対処の仕方も異なるのでお伝えします。
下痢の原因と種類
下痢とは水分の増加した便の状態の事。そして、急性下痢と慢性下痢があり、それぞれに感染性と非感染性とに分かれます。
急性のものでよくあるのは感染性のもの。ノロや食中毒など細菌やウイルス、寄生虫など。非感染性では寒冷刺激や抗生剤の連用、アレルギーや毒物の摂取などでも起こります。
慢性下痢で多いのはストレスなどに影響を受ける過敏性大腸炎や、そもそも腸に疾患が存在しているものや他の病気の随伴症状という可能性もあります。
下痢は症状が起こった状況により、何によって発症したのか検査なしで診断される事も多いです。しかし、中には検便以外にもレントゲンやCT、大腸ファイバーや血液検査などで総合的に診なくてはわからないものにもよく出会います。
どうやって下痢になるの?
大きく分けると以下の3パターンですが、実際にはこれらが単独では無く、複合的に起こる事も多いと言われています。
①腸の動きが速過ぎる(蠕動運動亢進):長い管状の腸は消化された食物をじっくり時間をかけて送り、栄養や水分を吸収していきます。ですが消化された食物を先へ送る腸の動きが速過ぎると、栄養も水分も吸収が間に合わなくて下痢になります。
②腸管内の水分が多すぎる(水分の吸収障害):腸の動きが通常の速さでも、腸が吸収する筈の水分量が少なすぎると腸管内の水分過多で下痢が起こります。
③腸が水分を出している(超粘膜の分泌亢進):体に有害な菌などが入ってくると、腸が水分を分泌して早く便と共に流しだそうと下痢が起こります。頑固な便秘により腸内に悪い菌が増えた時も、同様の状況で下痢になる事があるのです。
下痢になったら
激しい下痢の時は水分と電解質の喪失が多い為、補水が重要になります。特に子供やお年寄りは自分で水分補給出来なかったり、お年寄りは喉の渇きなど体のSOSを自覚しにくい特徴があり、注意が必要です。
なので、失う水分を常に補いながら療養する事が大切。スポーツ飲料を利用したり、食事も無理なく水分が摂れる消化の良い物を利用します。
ただし、下痢が激しい間は腸の直接の刺激を避けるためにお腹を休ませ、長期でなければ絶食でも良いのです。
自宅療養出来るレベルのものなら水分補給を継続しつつ、絶食後に消化の良い食事へ徐々に移行する方法で大抵のものは改善に向かいます。
ですが、下痢症状が激しい時や嘔吐が伴う脱水症状が続く時、血便が見られる時は早めに内科や消化器内科を受診して下さい。
消化の良い食べ物とは?
一般に言われる「消化の良い」ってどういう事なんでしょうか?
まず、消化に時間のかかるものはNGです。胃と共に小腸でも食べ物を吸収しやすい形に溶かしているのですが、消化に時間のかかる食物繊維(野菜)は腸を酷使してしまいます。
脂質(肉や揚げ物)も他の栄養素に比べると消化に時間がかかり、残った脂質は消化管の動きで押し出さなければならない為、やはり腸全体を酷使することになります。
硬い食べ物も消化に時間がかかり、他には刺激物や濃い味付けの物についても下痢の時は不向きです。
つまり、薄味で具材が少なく、柔らかくて刺激の少ないものがベスト。柔らかで甘すぎない糖質や炭水化物がおすすめです。昔からよく食べられるお粥は、消化のNGを全て排除した優秀な病人食だったのですね!
アルコールや冷たい物も刺激になるので避けましょう。ちなみに身体を温めるショウガも刺激物なので、胃腸の風邪の時は避けて下さいね。
利用する市販薬の注意点
下痢は辛い症状ではありますが、身体に必要な反応である事も多いのです。
身体から有害な菌やウイルスを排出している可能性もあるため、ケースによっては安易に下痢を止めてはダメなのです。
口から補水が出来ているならば、下痢止めではなく、お腹を休めて様子を見るのが一番です。しかし、それでも辛い時は整腸剤利用にとどめておきましょう。
逆に下痢を止めても良いのは、ストレスによる自律神経の乱れなどが原因と思われるもの。看護師をしている私は不規則な勤務による自律神経の乱れが原因と思われる為、決まったタイミングで下痢を起こし易く、このケースでは下痢止めを利用しています。
それと、冷たい物やカフェインを摂り過ぎた時などお腹への刺激が原因の下痢も、先ずは原因食品の摂取を止めて下痢止めを飲んでも大丈夫です。ただ、整腸剤でも効果ががある事は多いです。
どちらかわからない時はまずは消化の良い食事か絶食にして刺激物を避け、お腹を休め整腸剤だけで様子をみましょう。ですが補水(冷たくせず、常温で)だけは継続して下さい。
下痢と嘔吐がセットになってしまうと補水が出来なくなります。この場合は薬には頼れません。早めに受診して脱水を予防して下さい。病院なら外来でも水分やミネラル、嘔気を抑える薬などを点滴で身体に直接入れてもらえます。
脱水も命に関わる症状であり、下痢で始まる事も多いのです。
コメント