延命治療~ぜひ知っておきたい事~

雑記

いずれ誰もが迎える命の選択

大切な家族の看取りや、自分の最期の時の命の選択。

辛いけど、いつか必ずと言ってもいい程立ち向かわなければならない大きな問題です。

選択を行わなければならない〝その時〟はいつ来るのかわかりません。

延命治療を希望しますか?

入院した時、基本全員にこの質問をしている病院もあります。何故なら、病院は予測される急変が多い事ももちろんですが、そこまでのリスクが無くとも脳や心臓の障害が急激に起こる事は誰にでも有るからです。

そして、病院という場所であれば、望まない延命をしてしまう可能性もまた出てきてしまうからなのです。

私も実際に、命に危険のない疾患で入院中の若い人が、このケースで突然亡くなるのを見ています。現場や家族の混乱は大変なものでした。

あと〝延命治療をしない〟というのは、重症化した時に治療を止めて命を助けない選択ではありません。

当たり前の事ですが、ここを勘違いされている事がたまにあります。

急変が起こったその時に、意識が戻るレベルの救命が既に不可能である(植物状態となる事が強く予測される)時、どうするのか、という選択なのです。

癌だけでは無い

延命治療の要否を選択する疾患は様々です。癌はもちろん、心疾患や脳の疾患でも、誤嚥性肺炎や認知症etc.いろんなケースがあります。

例えば糖尿病の場合は血管がもろくなりやすく、透析治療をしているケースなどは、通常よりも更に急変のリスクが高いと言われています。そのため、早い段階から本人や家族に意思確認される事もあります。

また、認知症も不可逆的な進行性の脳の疾患です。進行度合いは様々ですが、いずれ決めなければならない時がやって来るのです。

どこまでが延命か

死亡確認の時間って、実はかなり曖昧なものです。何故なら、延命治療の選択肢に幅があるからです。

口から管を入れ、人工呼吸器につないで延命する(いずれは喉に穴をあけてチューブでつなぎ人工呼吸を生涯行う)〝フルコース〟と呼ばれるパターン以外にも、

心臓が止まるまで「酸素のみ利用」や、「最小限の点滴だけ利用」というパターンもあります。

そして、家族が到着するまでの間だけ心臓マッサージを継続(近距離など、常識的な範囲で)などがあります。

特に最後のパターンは、家族の到着時間が心臓マッサージを止める時間となり、これがほぼ死亡確認時刻となるのです。

延命治療は他にも、糖尿病など重症な腎不全の人が人工透析を導入するのか否か、

口からの食事が不可能となったケースなら、経過が長引き点滴の継続が難しくなった時、栄養チューブを胃や鼻から入れるのか否か、

などが選択肢に上がってくるのです。

心臓マッサージのリスク

一般向けに行われている心肺蘇生法の救急救命講習で、心臓マッサージが出来る人もいると思います。

呼吸の補助よりも、心臓を動かして血液の循環を維持する事の方が重要なので、こちらは呼吸補助より絶え間なく続ける必要があります。

その際、胸の厚さが1/3程沈み込む位の強い圧力で、胸を圧迫し続けます。

実はこの心臓マッサージにより、骨の脆くなっている高齢者はかなりの確率で肋骨の骨折を伴うのです。

延命治療を選択する時、そのリスクを負ってでも救命をするのか、という事は案外知られていない事実です。

栄養面の延命処置

高齢者が自分の力で嚥下が出来なくなる事は、とても多いです。

しかしケースによるものの、嚥下機能は専門のリハビリで回復も目指せる機能。

ただ、そのリハビリ中も栄養の補充は必要なので、その間どうやって生命を維持するのかという事が問題になってきます。

短い期間ならば終日の点滴、長くなれば外科処置を伴う中心静脈栄養、鼻からチューブを入れる経鼻栄養や、胃に穴をあけて注入食で栄養を入れる胃ろうなど。

それぞれに異なったメリットとデメリットがあります。

そして、知っておいて欲しいと感じるのは胃ろうのケース。

家族が胃ろうの増設を拒否される事がよくあります。しかし胃ろうは、食事を少ししか摂れなくなった人が、口からの食事と併用して利用する事も出来るというメリットがあります。

ケースによっては、食べる楽しみを残すことも可能になるのです。

注意点や適用できないケースも多いのですが、これもあまり知られていない情報のひとつです。

 

命の選択はいつだって厳しいもの。極めてデリケートで重要な問題なので、予測はされていてもまだ差し迫った状況になる前に医師が積極的に意思確認してくれる事はあまりありません。

方針として入院患者全員に確認する病院は一部だし、実は全員に確認する事の是非も常に問われています。

しかし、その選択によっては残された命の質が変わっていくのです。

そして、一度選択した結果についても、変更はいつだって可能!です。

もしも迷いがあるなら尚更、選択肢やメリット・デメリットなど、様々な質問を準備して早めに医師と相談する事をおすすめします。

更に家族でも話し合い、事前に悔いのない選択ができるのが理想ですね。

 

 

 

 

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