高血圧症も国民病?
一般科でも精神科でも、職場でも家族の中にも何処にでもいる高血圧症の人。
糖尿病と同じく高血圧も「国民病」と表現される程日本人には多い症状です。その割合はなんと「3人に1人」という統計がある程。
何故なら日本人の3大死因:がん、脳血管疾患、心疾患のうち、後者2つの原因ともなっている症状だから!なのです。
高血圧症とは
上(収縮期血圧)が140未満、下(拡張期血圧)90未満が正常値。年齢を問わずこの値を超えたら高血圧です。
血管をホースに例えるとわかりやすいのですが、沢山水を流すとホースはパンパンに硬くなり、この状態が高血圧。
昔理科や科学の授業で習ったと思いますが、2つの液体を半透膜という膜で隔てると、水分は濃度が濃い方に移動します。血管も同じで塩分濃度の濃い状態になると、血管内に水分を引き込んでホースがパンパンになります。
また、新しく柔らかなゴムホースは沢山水を流しても多少は伸びて柔らかさを維持出来ますが、古くて硬いホースは伸びてくれないばかりか、破れて水が漏れる可能性もあります。破れて漏れるのはもちろん血液です。
このような状況と全く同じことが血管に起きてしまうと考えると、そのしくみや恐ろしさがわかりやすいと思います。
その原因
①塩分過剰摂取:よく言われますが、日本食は塩分が多く、摂取する塩分量が諸外国より多いのです。更に、日本人は食塩への感受性も高い!という事がわかっています。
日本人が大好きなラーメンは1杯完食してしまうと、それだけで推奨1日塩分量の6gを超えてしまうのです。
②肥満:血管というホースの中にコレステロールが付着し、蓄積してホースを硬く狭くしてしまいます。更に溜め込んだ脂肪細胞は血圧の調整を行っている自律神経やホルモンも乱してしまいます。
肥満の人に多い運動不足も汗による塩分排泄をしないので塩分の蓄積が起こりやすくダブルでリスクを抱えます。
③ストレス:過度なストレスは血管を細く収縮させて血管内の圧力を上げてしまいます。睡眠不足などのストレスも、適切な自律神経の働きを阻害するのでこちらもダブルにリスクを抱えます。
④お酒・タバコ・コーヒーなどの過剰摂取:飲酒は少量なら血管を拡張させて一時的に血圧を下げますが、摂取量が増えるほどに血圧上昇へ働くことが知られています。
ニコチンもカフェインも、血管を収縮させる働きがあるため、いずれも血圧にとっては避けたいものの一つ。飲むタイミングや適量を守るという事で影響を少しでも回避することが望ましいのです。病院では、高血圧症の人はお酒とタバコの摂取を制限されたり、禁じられたりという指導が入ります。
減塩だけではなく排塩を!
減塩する事の重要性は上記の記述を見ていただければ良いかと思います。もはや減塩は中高年が当たり前に追い求めるブームでもあり、減塩食品は増える一方です。
では、排塩という言葉をご存じでしょうか?読んで字のごとく塩分を排泄する事で、この力を借りると摂取する塩分量が多少多くても、身体に溜め込む塩分量を減らす事が出来るのです。
ただし、腎機能に疾患のある人は一律にこの方法は使えませんので主治医へ相談いただきたいですが、そうでない方は排塩出来る食品を日頃から摂取する事が血圧管理に役立ちます。
カリウム・カルシウム・マグネシウムという3大ミネラルがその排塩を助けてくれます。野菜や果物、大豆製品に多く含まれる事がわかっています。
これらを摂取することで腎機能に問題の無い人なら1日推奨6gの塩分が、8~12g摂取していても問題はないと言われています。ただし、ずっとその状況を続けて良いという事ではありません。
知っておきたい高血圧の種類
白衣高血圧って聞いたことありませんか?外来や入院中、白衣を着た医師や看護師に血圧を測ってもらうと無意識のうちに緊張して高くなる、という人の血圧です。自宅でリラックスしている時に測定した血圧がいつも高くないなら治療の必要性が無いと言えます。
持続性高血圧は、読んでそのまま家庭でも病院でもいつでも血圧が高い事。本来治療対象となっているのはこの人達。ずっと血管に負荷をかけ続けている訳なので早くその負荷を取り除いてあげないと、気付いた時には手遅れとなってしまいます。
そしてもう一つ知って起きたいのが仮面高血圧。やっかいな事に病院や自宅でも血圧測定する事の多い昼間は正常値なのに、早朝や深夜などに血圧が高く発見が遅れます。
この時間帯は本来副交感神経が優位で血圧も下がっている筈のタイミングなのに、動脈硬化などで高血圧となってしまっているため、血管も休息をとれないままでいるのです。
家庭用血圧計が普及したことで発見された仮面高血圧。なので自宅療養中の方でも朝と就寝前の血圧をしばらく測定し続けてみて下さい。
昼間の測定も加え、その血圧と比較できるなら更にわかりやすいですね。明らかに異常と判明したら、時間を記録し取ったデータを見せて、ぜひ内科を受診して医師にご相談下さい。
降圧薬は症状が軽いうちなら、生活習慣の改善で飲まなくても良い状況に戻す事ができます。飲み続けなければならない人の方が多いですが、降圧薬は利用者が多いため量も回数も副作用も、ずっと改善され続けています。
高血圧のままでいる事は、あなたを日本人3大死因に追い込む恐ろしい日常だと言えるのです。
コメント