気になる療養中の便秘の話

雑記

便秘で救急車⁉

看護師になって驚いた事があります。世の中には、なんて沢山の便秘に悩む人達がいるんだろう?という事。

体調や気分を大きく左右する便秘。病気とまでは言えないけど、時には救急車で運ばれてきた原因が、便秘であったりすることもあるし、酷くなると腸閉塞という命を脅かす病気にもなる。療養中は、尚更大きな問題となってしまうのです!

どこからが便秘⁉

そもそも何日出なければ便秘なのか?

病院では3日も出なければ「そろそろ下剤でも飲みませんか?」「浣腸もできますよ」と、頼んでもいないのに看護師から声がかかります。

病院で便秘が高じて他の病気になったり、便秘が気になって療養が進まないのは困るので、どうしても入院中は過干渉気味。ですが、このチェックのおかげで、楽になる患者さんが常に一定数いるのは事実。

ただ、本来の便秘の定義からすると、もともと3日に一度でスッキリ出せて調子が良い人はそれを便秘とはいいません。逆に毎日出ている人が、丸一日出なければそれは便秘ということになるのです。

排便ペースは、かなり個性があるものなのです。

便秘を防ぐ3要素

よくいわれるのが「水分」「食物繊維」「運動」の三つ。

水分は1日コップ6杯くらい(起床時・毎食後・おやつ・寝る前)と発汗時や入浴後の摂取が出来ていれば基本はそれでOK。 ただ、忘れがちですが、日常の食事からも水分摂取をしているので、食べれないならその分追加を!

「食物繊維」は理想を言えば野菜を1日350gと多いですが、今は栄養補助食品が充実しているし、おかずのある食事が3食摂れているのなら、少なくとも病的レベルに不足しません。

「運動」も自力で通勤通学、買い物に出るような日常生活が出来ていればまずはOK。

誰もがスポーツを趣味にできる訳ではないし、そこをベースするのは無理があり、理想を言えばキリがありません。

つまりは、普通に食べて、普通に日常生活をしていたら、あとは少しの努力や心がけで、無理なく出来る事ばかり。だたしこの3つのバランスは必要!という事です。

療養中は出来ない事だらけ!

ところが、です。風邪で発熱、骨折してギブス生活、更年期鬱で自宅療養、そして入院中や高齢者、となると極端に出来なくなる要素が出てきます。食事制限や食欲減退など、飲食が出来なくなりがちな療養中の人は、たちまち「出来ない3拍子」が揃ってしまうのです。

便秘が腸閉塞に繋がる事は知られていますが、尿道が圧迫されて尿も出無くなったり、硬い排便は切れ痔を起こします。食欲低下だけでなく、嘔気といった症状にも繋がり、便秘が原因で食べれなくなるとその食事からの水分もとれず、便秘は更に悪化や慢性化の悪循環に陥るのです。

出来る対策は?

「水分」についてはその人が摂取しやすい水分を探す事。

むせる高齢者にはトロミを。冷たいものや、熱い飲み物を好む人ばかりでもないし、いつも同じ温度のものが欲しい訳ではありません。ジュースで無くともスープでも良い。すりおろしリンゴのようなものでも、ほぼ水分でできているゼリーやアイスでも水分摂取量にカウント出来ます。ご飯ではなくおかゆ、おかずにはトロミのついた餡をかけてあげても補えます。

そして、小さな事ですが、その人のタイミングで飲みやすい容器を準備する事も大事。手の不自由なお年寄りはコップは重くて持てない事が多いし、長いストローだと口に入る前に息が続かず、飲むことを諦めてしまいます。

小さく(軽く)したり、分割したり、切って短くしたり、といった工夫でクリアしましょう!

食物繊維はそもそも食べれないと話になりませんが、そもそも2種類あるうち水溶性食物繊維は野菜ジュースや青汁などでも補えます。

肝心の、便塊を作る不溶性食物繊維の方も、果物や野菜入りゼリーという手はあります。病院でも、嚥下が難しい人向けに、嚥下のレベルによっては食事の全てをゼリーの形状にした食事を提供します。

自宅療養で必要量全てを稼ぐのは難しいかも知れませんが、知識としてあると良いですね。

そして一番難しいかも知れないのが「運動」

スポーツのような体の動かし方は期待できないし、そもそも非日常的な生活をしているので、運動の代わりに腹部マッサージをしてお腹を刺激します。

お腹を腸の走行に合わせて右から左へ円をかくように腹部マッサージしたり、体位を自由に変えることが出来る人なら、うつ伏せに寝たまま、ぐりぐりとお腹を押し付けて動かせば、自分の体重で腹圧を全体にかける事ができ、一定のマッサージ効果が期待できます。

お腹を温めると腸の動きが良くなることも知られているので、病院ではこの原理を利用した腹部加温気があったりします。自宅なら湯たんぽや電気毛布が利用できますね。

あとはタイミング!食事をして胃が動き始めると、連動して腸も動くので、その時間を利用します。便意が無くとも食後30分~3時間以内の胃腸が動いている時に(このベストタイムは人それぞれですが)トイレへ行ってみましょう。

中でも「朝食後」は一日の中で、一番沢山量を食べる夕食の消化を終えており、朝食で胃からも刺激を受けて一番腸が大きく活動している時間。便意が無くとも排便出来る事もあるので試す価値アリ!です。

最後の手段?

入院中や通院中ならその人に合わせてちょうど良い分量を微調整できる下剤(液体)も処方してくれるので是非聞いてみてください。

自宅療養なら、市販の物で自分に合う下剤を見つけておくのも解決法のひとつ。寝る前に飲むと、睡眠を邪魔されません。

それでもダメなら薬局でいろんな量の浣腸が売っています。箱買いして家族の緊急の常備薬にしているご家庭もありますね。必要なその時にあることが大事です。

いずれにしても、浣腸だと長い腸の、まだ上の方にある便を出す事は出来ません。下剤で便を下まで降ろし、降りてきた便を浣腸で出すイメージで使うと効果的です。

免疫力にも関わる大事なお腹。頑固な硬い便になる前に、予測して対処!を習慣に出来るといいですね。

 

 

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