熱くても、身体を冷やしちゃいけないの?
これからインフルエンザシーズン。インフルだけでは無く、療養中の発熱はあるあるの出来事ですよね。
私は普段看護師をしているのですが、発熱した時の対処法、なんとなくでやっちゃってませんか?
基本的だけど大切な事がいくつかあるので、是非知っておいて下さい。
迷う必要無し!何故なら…
微熱程度だとわかりにくいかも知れませんが、突然高熱が起こる時の事を思い出して下さい。その前に寒気を感じますよね?
よく言われる通り、身体は菌などが体内に入ると、菌の活動に不利な熱を出して戦おうとする。だから寒いという感覚を起こさせて身体を震えさせ、熱を余分に作る。
この時の「寒いの?風邪ひいたんだね。温めなきゃ!」は正解。布団などの掛物調整もですが、夏でも適度に身体を暖めてOKです。
そして、しばらくすると汗が出始めます。当然暑い。でも「風邪のひき始めは冷やしちゃダメ!」とまだ暖めてくれる人も居ますが、こちらはNG。真冬でも、こんな時はタオルケットのみで充分なのです。
これは、身体が必要十分な熱を作り上げたから、もう震えなくても大丈夫になった=暖め不要!の合図です。
つまり、発熱時の対処法は身体が「ちょうどいい」と感じるままをキープすればそれが正解なんです。簡単ですね。
解熱剤の使い時とは?
熱は一種の身体の防御反応。だから本来ならこの反応は抑えない方が身体には有利な筈です。では何故、病院は解熱剤を処方してくれるのでしょうか?
それは、発熱はエネルギーを使うだけでなく、様々な副症状を連れて来るから。食欲低下や頭痛、倦怠感etc.これらが続くと体力が奪われすぎてしまい、身体だけではなく、闘う気力さえ失って悪化する可能性もあるのです。
特に小さい子供で熱性けいれんを起こすタイプの子は、上がりすぎないよう注意してあげる必要があります。
だからそこはメリットとデメリットを秤にかけて使うのがベスト!
普段健康な人の発熱なら、2.3日動けなくてもさほど体力は奪われません。多少の食欲低下や倦怠感くらいなら、熱の程度にもよりますが解熱剤も不要!だけど、眠れない程の頭痛を伴うなら療養を邪魔するので薬を飲む、という感じてす。
発汗してきたら?身体の冷やし方
さて、内服した解熱剤が効いて、汗が出てきました。
今度は冷やす番なので、ここで初めてアイスノンや氷嚢を登場させるのが正解です!
解熱剤を飲んでいなくても、普通に熱が上がり切ったのち「暑い」と感じ始めた時も同じ。
そして冷やすべきなのは、頭ではなく実は脇の下や足の付け根の内側辺りなど太い動脈がある部分。
頭を冷やすと気持ちいいし、頭には汗もかくので冷やしてあげて欲しいけど、解熱効果はさほどでもないのです。だから冷えピタも解熱用とまでは言えません。
ただ、脇の下に大きな硬いアイスノンを挟んでも、上手く固定し辛くてちゃんと冷やす事が出来ません。そんな時は、外した枕や巻いたバスタオルなどを少し曲げた肘から手首の下に入れると安定しますよ。
あと、手足を布団から出して、熱を放散させてあげるのもかなり効果的なのでお忘れなく!
寒いの?暑いの?話せない人の判別
これ、悩みますよね。眠っている病人をわざわざ起こして暑いか寒いかを尋ねるのは気が引けます。
では、話せない子供やお年寄りが、今暑いのか寒いのかをどうやって見極めるのが良いのでしょうか?
身体が熱い=冷やす、ではありません。身体がまだこれから熱をあげようとしている最中かも知れないのです。そんな時本人は寒く感じているので、冷やされるのは苦痛でしかありません。
顔色に出ている事もありますが、まず手足の抹消が冷えている時は、寒いと判断して暖めるようにします。
あと背中に手を入れて熱がこもっていたり、湿度を感じる時、暖める必要はありません。
更に汗を感じるようなら冷却を!
水分について
お湯を沸かす時、沢山水の入ったやかんは沸騰しにくいのと同じように、人間の身体も水分が少ないと熱が上がりやすくなります。あと、水分を摂っていない時でも排泄をしなくては身体の中の不要物を溜め込み、別の弊害も起こってしまう。
それに、発熱すると、体の必要水分量は更に増えるから、発熱時の水分量の意識はとっても大事!
そもそも熱がある時は喉が渇くものですが、高齢者は水分が足りていないのにその自覚が乏しい事も多く、小さな子供はその不快感を適切に表現出来なかったりします。
そして、食欲が落ちていると、普段なら食事から摂れている筈の水分まで不足しているため、水分が足りなくなる状況は更に重なっているのです!
そんな時、普通に水を飲める状況なら問題はありませんが、むせこみの多いお年寄りや咳がひどい状況の時、市販のトロミをつける粉(火を通さなくても混ぜるだけで味を変えずに好みのトロミをつけられる)を加えてスプーンや吸い飲みでゆっくり飲ませるのがおススメ。トロミが無くても、ストローを使うと、そのままコップで飲むよりはむせ込みにくいようです。吸う力が弱い時は、ストローを短く切ってあげると早く口に届きますね。
そして、寝かせたまま飲ませるのは絶対NG!「誤嚥性肺炎」を起こしてしまいます。
頭は必ず上げた状態で!子供やお年寄りは、ゴックンを必ず見届けてから寝かせてあげるのもお忘れなく。
発熱時の対処。知っていたら、そばにいる家族をちゃんと安楽に、安全に過ごさせてあげる事ができるので、是非覚えておいて欲しいです!
コメント